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トマトの脇芽かきをしたあと、元気な脇芽をそのまま捨てるのが惜しく感じることがあります。少し大きくなった脇芽なら、水や土へ挿して発根させ、もう1株の苗として育てることができます。
我が家では、20cmほどに伸びた脇芽を水を張ったバケツへ入れたところ、4〜5日ほどで根が出ました。数本はうまく育たなかったものの、大半は植え付け後も育ち、親株と遜色ないほど実を収穫できました。
ただし、根が出るまでの日数や植え付け後の育ち方は、気温、脇芽の状態、日当たりによって変わります。この記事では、水挿しと土挿しの違い、植え替える目安、しおれたときの確認点を順番に説明します。
トマトの脇芽は挿し木で苗にできる
トマトの脇芽は、主茎と葉の付け根から伸びる新しい芽です。通常は枝が混み合うのを防ぐために小さいうちに摘み取りますが、健康な脇芽には茎と葉を伸ばす力が残っています。切り口を水や用土へ挿すと根が出て、別の株として育てられます。
農研機構の試験でも、葉が3〜4枚ついた腋芽をセルトレイへ挿し、発根後に定植する方法が示されています。家庭菜園では同じ設備を用意する必要はありませんが、「健康な脇芽を選び、発根させてから植える」という基本の流れは共通しています。
脇芽から増やした株は、種から育て直すより生育段階を進めやすい一方、親株より遅い時期から育て始めます。夏の終わりに増やすと、気温が下がるまでに実が十分育たないこともあります。増やすなら、収穫までの期間を取りやすい初夏から夏の前半が扱いやすい時期です。
挿し木に使う脇芽は健康なものを選ぶ
どの脇芽でも同じように育つわけではありません。親株に病気が出ていたり、脇芽に傷みがあったりすると、発根する前に枯れることがあります。
選ぶときは、次の点を確認します。
- 葉に黒い斑点や白い粉のような症状がない
- アブラムシなどの害虫がついていない
- 茎が折れたり、つぶれたりしていない
- 葉が3〜4枚あり、茎に張りがある
- 花や実が多くつきすぎていない
農研機構の資料では葉が3〜4枚ついた脇芽が使われています。我が家では、脇芽かきを忘れて20cmほどまで伸びたものを使いました。小さすぎる芽より扱いやすく、水へ入れたあとも葉の状態を観察しやすかったです。
一方、大きな脇芽は葉から失う水分も増えます。葉が多すぎる場合は、水に浸かる下葉や傷んだ葉を外し、花がついている場合は発根を優先して花を取ります。葉をすべて取る必要はありません。元気な上葉を残しつつ、根がない状態での負担を減らします。
水挿しと土挿しはどちらがよい?
トマトの脇芽は、水へ挿して根を確認してから植える方法と、湿らせた用土へ直接挿す方法があります。初めて試す場合は、根が見える水挿しの方が植え替える時期を判断しやすいです。
| 方法 | 向いている場合 | 良い点 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 水挿し | 根を見てから植えたい | 発根の様子が分かりやすい | 水の濁りや根を傷めない植え替えに注意 |
| 土挿し | 植え替え回数を減らしたい | 発根後に根を動かさず育てられる | 土の中の根を目で確認しにくい |
水挿しは透明な容器を使うと根を確認しやすいですが、複数本をまとめるならバケツでも構いません。我が家ではバケツを使い、大半の脇芽が発根しました。
土挿しは、根が出たあとに水から土へ移す工程がありません。ただし、まだ発根していないのか、土の中で根が伸びているのかを見分けにくいため、新芽の動きや茎の張りを観察する必要があります。
水挿しで根を出す手順
1. 晴れた日に脇芽を取る
雨の日より、切り口が乾きやすい晴れた日に作業します。脇芽を手で取る場合は茎を裂かないようにし、ハサミを使う場合は刃を清潔にしてから切ります。
脇芽を増やすために、親株の大きな枝を無理に切る必要はありません。通常の脇芽かきで取った中から、健康で扱いやすいものを選びます。脇芽の見つけ方や取り方は、トマトの植え付け後の管理で詳しく説明しています。
2. 水に浸かる葉を外す
茎の下側についている葉が水へ入ると、傷んで水が汚れる原因になります。水面より下になる葉を外し、茎の切り口がしっかり水へ入る深さに調整します。
上の葉まで全部水へ沈める必要はありません。茎の下側だけを水へ入れ、葉は水面より上に出します。
3. 直射日光を避けて発根を待つ
根がない脇芽を強い日差しへ置くと、葉から水分が失われてしおれやすくなります。明るい日陰や、午前中だけ弱い光が当たる場所で様子を見ます。
水が濁ったり、においが出たりした場合は新しい水へ替え、容器も洗います。毎日決まった時刻に替えることより、水と茎の状態を見て清潔に保つことが大切です。
我が家では4〜5日ほどで根が見えました。ただし、これは20cmほどの脇芽を使ったときの例です。気温が低い、脇芽が弱っている、強い日差しに当たっている場合は、同じ日数で根が出るとは限りません。
4. 根が複数伸びたら植え替えを考える
白い根が1本見えた直後に急いで植えるより、複数の根が伸びてからの方が、土へ移したあとに水を吸いやすくなります。根の長さだけでなく、茎に張りがあるか、新芽が傷んでいないかも確認します。
根は柔らかく折れやすいため、容器から取り出すときに引っ張りません。根の周りへ土をそっと寄せ、強く押し固めないように植えます。
土へ直接挿す場合の手順
土挿しでは、育苗ポットへ水はけのよい清潔な用土を入れ、先に土を湿らせます。乾いた土へ挿してから勢いよく水をかけると、脇芽が動いたり、切り口の周りに隙間ができたりします。
作業は次の順で進めます。
- ポットの用土を先に湿らせる
- 棒などで挿し穴を開ける
- 下葉を外した脇芽を挿す
- 茎の周りへ土を寄せて支える
- 明るい日陰で乾燥させないように管理する
挿した直後に少ししおれても、すぐ失敗と決める必要はありません。朝や涼しい時間に葉が戻る、新芽に張りがあるといった変化があれば、そのまま様子を見ます。茎の根元が黒く柔らかくなったり、腐ったにおいがしたりする場合は、その脇芽を外して用土や水分量を見直します。
おすすめ用品:さし芽・種まき用土
土へ直接挿す場合は、畑の土より粒が細かく、水はけと保水のバランスを取りやすい専用土があると管理しやすくなります。少量の脇芽を試すなら5L程度でも使い切りやすい容量です。
発根した脇芽を畑やプランターへ植え付ける
水挿しで根が出た脇芽は、いきなり強い日差しの畑へ移すとしおれることがあります。植え付け前に、屋外の明るい日陰へ置く時間を少しずつ増やし、外の環境へ慣らします。
植え付けは、真昼の暑い時間を避け、朝か夕方に行います。植え穴へ根を広げるように置き、根を折らないように土を戻します。植え付け直後は株元へ水を与え、数日は葉の張りと土の乾きを確認します。
根がまだ少ない場合や、暑さや雨で畑へすぐ植えられない場合は、いったん9cmほどの苗ポットへ植えて管理できます。ポットの底から根が見えるまで育ててから畑へ移すと、弱い根を屋外の強い環境へ急に出さずに済みます。
おすすめ用品:9cm苗ポット
発根した脇芽を畑へすぐ移せないときは、1本ずつ苗ポットで管理すると根や葉の状態を確認しやすくなります。10個入りなら、必要な分だけ使って残りを次の育苗へ回せます。
新しい葉が伸び、日中に極端にしおれなくなれば、根が土へなじみ始めた目安です。その後は通常のトマトと同じように支柱へ誘引します。支柱をあとから強く差し込むと根を傷めるため、植え付け時に近くへ立てておくと管理しやすくなります。
我が家では、発根した脇芽の大半がそのまま育ち、収穫量も親株と遜色ありませんでした。脇芽から増やした株だから実が少なくなるとは限りません。ただし、植え付けた時期や気温、確保できる日当たりで結果は変わるため、同じ収穫量を保証するものではありません。
うまく育たないときに確認すること
脇芽がしおれる
発根前は、水を吸う力より葉から失う水分の方が多くなりがちです。強い日差しを避け、水切れしていないか確認します。葉が多い場合は、下葉や大きく傷んだ葉を減らします。
水を増やせば必ず戻るわけではありません。土挿しで常に水がたまっている場合は、過湿で切り口が傷んでいる可能性もあります。
水が濁る・茎が柔らかくなる
水に葉が浸かっていないか、容器が汚れていないか確認します。水を替えても茎の切り口が黒く柔らかくなる場合は、腐敗が進んでいる可能性があります。健康な部分まで残せるなら清潔な刃で切り戻し、新しい水へ入れます。
数日たっても根が出ない
4〜5日で根が出た我が家の例は、すべての脇芽に当てはまる日数ではありません。茎に張りがあり、葉や新芽が大きく傷んでいなければ、清潔な水と明るい日陰を保ちながらもう少し待ちます。
一方、親株に病気が出ていた脇芽は、発根しても病気を引き継ぐおそれがあります。葉の斑点、茎の変色、害虫が見られる脇芽は増やさず、健康な株から取り直します。
親株の症状から原因を確かめたい場合は、トマトが枯れる原因と復活方法もあわせて確認してください。
脇芽から増やす前に知っておきたい注意点
脇芽の挿し木は苗を増やせる便利な方法ですが、増やすほど植える場所、支柱、水やりの手間も増えます。畑やプランターの空き、収穫までの残り期間を考えて本数を決めます。
また、増やした株は親株と同じ環境から取っています。親株に病気や害虫がある場合は、脇芽にも持ち込む可能性があります。「元気そうな脇芽を使う」ことが、発根方法より先に確認したいポイントです。
種苗法では、登録品種であっても、自分で食べる家庭菜園なら許諾なく増やせると農林水産省が説明しています。脇芽を挿して自分の畑やプランターで育てる分には、気にせず楽しめます。農林水産省は「現在利用されているほとんどの品種は一般品種」としており、一般品種であればそもそもこうした制限はかかりません。
ひとつだけ覚えておきたいのは、登録品種の場合、増やした苗も、その苗から穫れた実も、人にあげることはできない決まりになっている点です。ご近所へのおすそ分けもここに含まれます。登録品種かどうかは、苗のラベルや種袋の「登録品種」「PVP」の表示で確認できます。
よくある質問
脇芽は何cmくらいまで伸ばしてから使いますか?
長さだけで決めず、病気や害虫がなく、葉が3〜4枚ある健康な脇芽を一つの目安にします。我が家では、20cmほどまで伸びた脇芽を使いました。大きな脇芽は扱いやすい一方で葉から水分を失いやすいため、下葉を外して明るい日陰で発根を待ちます。
水へ挿してから何日で根が出ますか?
我が家では4〜5日ほどでした。ただし、気温、日差し、脇芽の状態によって前後します。日数だけで判断せず、水の清潔さ、茎の張り、切り口の傷み、新芽の状態を見ます。
発根前に少ししおれても失敗ですか?
少ししおれただけなら、すぐ失敗とは限りません。強い日差しを避け、水切れや葉の多さを確認します。涼しい時間にも戻らず、茎の根元が黒く柔らかい、腐ったにおいがする場合は、やり直した方がよい状態です。
脇芽から育てた株にも実はなりますか?
発根後に活着し、花と実が育つ期間を確保できれば収穫を目指せます。我が家では親株と遜色ないほど収穫できました。ただし、遅い時期に植えると気温が下がるまでの期間が短くなり、同じ結果にならないことがあります。
まとめ|根と葉の変化を見ながら脇芽をもう1株へ育てる
トマトの脇芽は、健康なものを選んで水や土へ挿すと、根を出して新しい苗として育てられます。初めて試すなら、根を目で確認できる水挿しが植え替えの時期を判断しやすい方法です。
我が家では、20cmほどの脇芽を水を張ったバケツへ入れ、4〜5日ほどで発根しました。数本は育たなかったものの、大半は植え付け後も成長し、親株と遜色ないほど収穫できました。大切なのは、この日数だけを正解にせず、根の本数、茎の張り、新芽の状態を一緒に見ることです。
脇芽を増やすと、トマトを育てる場所と管理の手間も増えます。最初は1〜2本から試し、発根や新芽の変化を観察してみてください。脇芽かきで終わるはずだった芽が新しい株へ育っていく過程も、家庭菜園ならではの楽しみになります。



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