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イチゴの苗を植えるときは、どこまで土に埋めればよいのか迷うことがあります。株元の中心を土の上へ出して植え、冬は根の浮きと乾きに気をつけて育てます。秋の植え付けから春の授粉、赤い実の採り方、収穫後の苗づくりまで紹介します。
基本・品種|イチゴの育つ時期と選び方
秋植えから春の収穫を目指すなら、一季なり性のイチゴが候補です。一季なりは主に春に収穫期が来る性質で、四季なりとは花の付き方や管理が違います。苗の名前だけでなく性質もラベルで確認しておきます。見た目が同じ苗でも、どちらかによって花を残す時期の考え方が変わります。
春に実を採る品種には「宝交早生(ほうこうわせ)」などがあります。苗を買うときは、秋に植えて春に採るものかをラベルで確かめましょう。実の味の好みだけでなく、植える地域や時期に合うかも見て選びます。
苗選びでは葉色、中心の芽、株元、葉裏まで見ます。クラウンとは葉が集まって出る株元の短い茎です。ここが黒く傷んだり、苗全体がぐらついたりするものは避けます。育てる株数が少なければ、一株の不調が収穫へ響きやすいので、葉と根元が健全な苗を選びます。
準備|土と畝を整える
土の酸度を測り、調整が必要なら石灰をまいて耕します。1週間ほどあけてから完熟堆肥と元肥を混ぜます。量は使う製品の面積当たり量に畝の面積を掛けて量ります。前作に使った肥料の記録も見ておきましょう。
イチゴは冬も畝(うね)に残るので、夏の日当たりだけでなく冬の日陰も考えます。隣の背の高い野菜や建物で日陰になる場所では、葉が乾きにくくなります。雨の後に畝の周りへ水がたまるなら、水の出口を作ってから植えます。葉が地面へ伏せる冬は特に泥はねにも注意しましょう。
堆肥と元肥は根が伸びる範囲の土へ均一に混ぜます。翌春に追肥する分まで秋に入れすぎると、必要以上に葉ばかり茂らせることがあります。前作(前に育てた野菜)に使った肥料の量も確かめます。
株間は30cm程度を目安に、品種や畝幅へ合わせて葉が重なりすぎないようにします。通路側へ実を出せる配置なら、春に実を探しやすくなります。古いランナーの切り残しと反対側に実が出やすい性質があります。跡が見える苗は、その跡を畝の内側へ向けて植えると、通路側の実を採りやすくなります。
種まき・植え付け|根づくまでの作業
関東の平地では10月頃の秋植えを基本に、苗の説明とその年の気温を見て予定します。寒冷地は根づく時間を確保するため早め、暖地は暑さが残る時期を避けるなど調整します。苗のラベルで植え時を見て、畑の気温と比べて決めます。植えた後にまとまった寒さへ入るまでの期間を確かめてください。
根鉢へ水を含ませてからポットを外し、周囲の土と同じ高さへ置きます。クラウンは土の上へ見える状態にし、根は土の中へ収めます。植えた後に水を与え、土が沈んでクラウンへかぶっていないか、改めて見直します。沈んだ所は周囲へ土を戻して高さを整えます。
追肥や土寄せの後も、クラウンは土の上に出しておきます。植える日だけ注意しても、後から作業した土が中心へ寄ることがあります。株の周りへ土を足す場合は、中心の芽を指で確かめながら周囲へ入れます。葉の付け根へ泥が詰まらないようにして、株元が乾きやすい状態を保ちましょう。
苗を植える間隔は、翌春に広がる葉が重なりすぎないよう確保します。露地では株間30cm程度を一つの目安にし、品種の表示を優先してください。今の小さな苗の幅だけで詰めると、花が咲くころに実へ手が届きにくくなります。
苗を植え終わったら、クラウンの高さをもう一度見ます。水で土が沈んで根鉢が露出したら、その周りだけに土を足します。中心の芽へ土がかぶった所は、指でそっと取り除いてください。苗は植えた位置に保ち、周囲の土を加減して高さを整えましょう。
管理|冬越しと春の授粉
冬には葉が低く広がり、生長が鈍くなります。中心の芽が健全か、根が霜で浮いていないか、土が極端に乾いていないかを見ます。浮いた株は土が解けてから根を覆い、中心へは土をかぶせないようにします。
露地でも晴れて風の強い日が続くと乾きます。株元の土を少し見て乾いていれば、暖かい日の午前中に水を補い、夜まで過湿が続かないようにします。雨で十分湿っているなら追加しません。寒さを防ぐ資材を使う場合も、株を蒸らさないよう日中の状態を見ます。
春、新しい葉と花が出る頃は、育てている品種の栽培表に合わせて追肥します。花へ虫が来ないときは人工授粉を補助にします。晴れて花が乾いた日の朝に柔らかい筆などで花の中心をそっとなで、全体へ花粉が付くようにします。冷たい雨に濡れた花を強くこすらないでください。
わが家で授粉を試したときは、綿棒が少しかたく、耳かきの先にある梵天(ぼんてん:白く柔らかい毛の部分)のような柔らかいものの方が使いやすいと感じました。先が柔らかい道具を使い、花の中心全体へやさしく触れます。花の中心に花粉が付いたら、次の花へ移ります。
実が地面へ触れる場所には敷きわらなどを置き、泥はねを減らします。わが家では実にアリがたかることもありました。アリがいた事実と、実を傷めた原因とは分け、傷口や周囲のアブラムシも調べます。腐った実は早めに取り、ナメクジや鳥に備える覆いは、実から離して固定しましょう。
黒マルチを使う場合は、地域の栽培暦に合わせて張ります。すでに根付いた株へ後から張るときは、株の位置を確かめて切り込みを入れ、葉や中心の芽を埋めないようにします。苗を強く引き出すと根が傷みます。
枯れた葉や傷んだ実を残すと、土に触れたところから傷みが広がる場合があります。傷んだ部分をはさみなどで少しずつ除きます。実の下へわらなどを敷くなら、雨の後に湿ったまま密着していないかも確認してください。
おすすめ用品:授粉用ぼんてん・元肥・追肥用の肥料
イチゴの花へ花粉を付ける柔らかい道具です。花の中心へやさしく触れます。
元肥と生育途中の養分補給に使う肥料です。袋を閉じて湿気の少ない場所に保管すると、次の作業にも使いやすくなります。
収穫・保存|採り時と保存の仕方
収穫は見えている表側だけでなく、葉に隠れた側まで赤くなったかを確認します。畑で十分色づいた実を選び、実をそっと支え、柄をはさみで切りましょう。雨でぬれた実は傷みやすいので、水気を取り、早めに使います。
採った実は早めに持ち帰り、冷蔵して早めに食べます。洗うのは使う直前にして、水分が残ったまま重ねないようにします。一斉に赤くなる週もあるため、畑に出るたびに葉の下も見ましょう。小さくても十分色づいた実を見落とさないことが、取り遅れを減らします。
おすすめ用品:収穫・手入れ用のはさみ
実を支えて柄を切るためのはさみです。大きな刃先を実へ向けないようにし、手持ちの清潔なはさみで足りるなら買い足しは不要です。
片づけ|残った株と資材を整える
ランナーの子株をポットに固定する
収穫が終わったら、翌年用の苗を採るか決めます。ランナーは親株から伸びる細いつるで、節にできる子株から根を出せます。健全な親株の子株を土入りポットへ固定し、根づくまでは親から切り離しません。病気が疑われる株から子苗を増やさないことが、次作(次に育てる野菜)のために大切です。
根づいたかは、軽く触れたときのぐらつきやポット底の根で確かめます。強く引いて試すと新根を傷めます。暑い時期は苗の小さなポットが乾きやすいので、風通しのよい場所で水分を確認します。古い親株、病葉、使い終わった敷き材は片づけ、増やす苗と終える株を分けて管理してください。
よくある失敗|症状に合う作業を選ぶ
実の形がいびつなとき
花の中心へ花粉が十分に付かないと、形のいびつな実になることがあります。次の花は晴れて乾いた朝、柔らかい道具で中心全体をなでて授粉します。花の中心が霜で黒く傷んだものと比べ、健全な花を守りながら次の実を育てましょう。
まとめ|株元の傷みと形の悪い実は、植える高さと授粉を見直す
株元が傷む悩みは、植え付けの節でクラウンを土の上へ出し、追肥や土寄せの後にも高さを見ることで防ぎやすくなります。形の悪い実が続くときは、花が乾いた朝に柔らかい道具で中心全体へ花粉を付けましょう。赤い実は裏側まで見て採り、翌年の苗を作るなら健全な親株の子株をポットに固定して根づかせます。
よくある質問
秋に咲いた花は残した方がよいですか?
秋植えの一季なり苗を春どり用に育てる場合は、秋の花や実を取って根株を育てることを優先します。ただし四季なり性や別の時期に採る育て方では扱いが違うので、先にラベルを確かめてください。四季なりの苗は、ラベルの収穫時期に合わせて花や実を残します。
春の花の中心が黒くなりました。授粉すれば実になりますか?
霜などで花の中心が傷んだ可能性があり、傷んだ部分を授粉で元に戻すことはできません。残る花と中心を見比べ、傷んだ花を取り、次の花を守ります。遅霜の予報がある時期は覆いを準備し、朝は蒸れないように管理してください。病気が疑われる斑点もあるなら、花以外の部分も確認します。


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