アスパラガスは一度植え付けると、その後10年ほど同じ場所で収穫を続けられる野菜です。だからこそ、植え付けのときに「どこに植えるか」「根株をどう扱うか」でつまずくと、長く後悔することになります。
私自身、最初は根株から育て始めましたが、いざ植えようとすると「この場所で本当にいいのか」「肥料はどう入れるのか」と迷いました。そこでこのページでは、20年以上家庭菜園を続けてきた経験をもとに、アスパラガスの植え付け適期・根株の選び方・肥料焼けを防ぐ間土・株間の取り方を、実際の作業の流れにそって説明します。
最初に決めるのは「10年動かさない場所」
アスパラガスの植え付けでいちばん大事なのは、品種でも肥料でもなく、場所選びです。一度根づくと10年近くそこで育ち続けるため、途中で動かすのが難しいからです。
私が植えるときも、まず「ここなら10年そのままにしておけるか」を最優先で考えました。畑の隅で他の野菜の作業のじゃまにならず、日当たりがよく、毎年掘り返さなくてよい場所が向いています。逆に、毎シーズン畝を作り直すような中心部に植えると、長期栽培のじゃまになります。
場所さえ決まれば、あとの作業はそれほど難しくありません。順番に見ていきましょう。
アスパラガスの基本データと植え付け適期
まず栽培の前提を押さえておきます。
- 科目:キジカクシ科(連作障害は3〜4年あける)
- 土壌酸度:pH6.0〜7.0
- 生育適温:15〜25℃
- 植え付け適期:2月下旬〜4月中旬
- 収穫まで:大きな根株なら1〜2か月後、若い根株は翌年4月以降
10年という長い期間そこで育てるので、土壌酸度はじわじわ酸性に傾いていきます。植え付け前にしっかり中和しておいても、数年たつとpH6.0を下回ってくるので、毎年少しずつ石灰を補うつもりでいると安心です。連作障害もありますが、10年後に一気に植え替えるより、更新の2年ほど前から別の場所で小さい苗を育て始めておくと、収穫が途切れずにすみます。
畝づくりと溝施肥
植え付けの前に畝を準備します。目安は次のとおりです。
- 区画:畝幅1m × 長さ3m
- 畝高:10cm(砂地なら5cm、粘土質なら10cm)
- 元肥(1㎡あたり):牛ふん3L(約1.2kg)・鶏ふん100g・有機石灰50g・米ぬか50g
- 施肥方法:溝施肥
畝高は土質で調整します。水はけの悪い粘土質なら10cmと高めに、水はけのよい砂地なら5cm程度で十分です。アスパラガスは溝を掘って底に肥料を入れる「溝施肥」で植え付けるので、畝づくりの段階で植え付け位置の溝をイメージしておくと作業がスムーズです。
根株の選び方:1年目か、2年目以上か
アスパラガスは、ポット苗と、地上部を切った「根株」のどちらからでも育て始められます。ホームセンターで枯れ枝を束ねたような状態で売られているのが根株です。私は根株から育て始めました。
根株には、栽培1年目の若い株と、数年たった大きな株があります。ここが収穫時期を大きく左右します。
- 1年目の若い根株:数本は芽が出るが細く、その年は収穫せずに育てる
- 2年目以上の大きな根株:植え付け後1〜2か月で食べられる太さの茎が出る
私が最初に植えたのは若い根株で、出てきた芽は細いものばかりでした。そこで初年度は収穫をぐっとがまんし、擬葉(細かい葉)を伸ばして光合成させ、根を太らせることを優先しました。その年に細い芽まで採ってしまうと根が消耗し、翌年の収穫が落ちてしまうからです。「早く食べたい」気持ちはありますが、初年度は株を育てる年と割り切るのがコツです。
植え付けの最大のポイントは「間土」
植え付けでいちばん大事な作業が、肥料焼けを防ぐ間土(あいど)です。
アスパラガスは溝を掘って底に肥料を入れますが、その肥料の上に直接根株を置くと、根が肥料に触れて傷んでしまいます。これが肥料焼けです。そこで、肥料を入れたら、その上に厚さ5cmほど土をかぶせ、肥料と根が直接当たらないようにします。この土の層が「間土」です。
間土を作ったら、その上に根株を置きます。根を四方に広げ、成長点(芽が出るところ)を上に向けて置くのがポイントです。複数植えるときは、成長点どうしが30〜40cm間隔になるように並べ、根の向きをそろえます。並べ終えたら土をかぶせ、軽く押さえて水をやれば植え付け完了です。
株間を30〜40cm、2列なら列間1mと、アスパラガスはわりと場所を使います。家庭菜園では数株に絞って、無理なく管理できる範囲で植えるとよいでしょう。
おすすめ用品:アスパラガス専用肥料
アスパラガスは長く同じ場所で育てるため、元肥や追肥の成分バランスが収量に効いてきます。専用肥料なら必要な成分がまとまっているので、毎年の施肥がしやすくなります。
よくある質問
初年度から収穫してもいいですか?
若い根株から始めた場合は、初年度は収穫せず育てるのがおすすめです。私も最初の年は細い芽ばかりだったので採らずに育てました。細い芽まで採ると擬葉が伸びず根が消耗し、翌年の収穫が落ちてしまいます。早く収穫したい場合は、植え付け時に2年目以上の大きな根株を選ぶと、その年から食べられる茎が出ます。
植え付け場所はどう選べばいいですか?
10年ほど動かさずにおける場所を選んでください。日当たりがよく、他の野菜の畝づくりや収穫のじゃまにならない畑の隅などが向いています。毎年掘り返す中心部に植えると、長期栽培のじゃまになり、根を傷めることもあります。場所選びはアスパラガス栽培で最初にして最大の判断ポイントです。
間土をしないとどうなりますか?
肥料の上に直接根を置くことになり、根が肥料に触れて傷む「肥料焼け」が起こりやすくなります。せっかくの根株が弱ると、芽が出なかったり生育が悪くなったりします。溝の底に肥料を入れたら、必ず5cmほど土をかぶせてから根株を置いてください。ひと手間ですが、植え付け成功の決め手になります。
まとめ
アスパラガスの植え付けは、「どこに植えるか」を最初にじっくり決めることから始まります。10年そのままにできる場所を選び、溝施肥のあとに間土で肥料焼けを防ぎ、成長点を上にして株間30〜40cmで植えれば、植え付け自体はそれほど難しくありません。
若い根株なら初年度は収穫をがまんして株を育てる年に。そう割り切れれば、翌年からは太い若茎を毎年楽しめます。場所選びと間土さえ押さえておけば、長く付き合える頼もしい野菜です。




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